【後編】我輩がブラック工場を辞めた話
後編です!
ここからは更にブラック具合に拍車をかけた話が出てきます。
前回の話を読んでないよ〜!って方は下のリンクから行かれてくださいませ!
事実は小説よりも奇なり。それでは後編始まりーー!
人は見た目で判断してはいけない
前編でも記述したとおり、入社して1ヶ月が過ぎた頃である。
ある程度は機械操作も出来るようになり1人で定時間内は作業するようになった。
なので教育担当の勉三さんは定時間内は洗浄工程に入り、我輩がトラブル起こした時のみ対応する。
そして、残業は2人とも洗浄工程の応援。
といった体制になった。
とはいえ1人で作業するにも「???」がたくさん湧いて来ることばかり。
ミスした際に加工するモノがダメになると、機械加工の前工程の『材料工程』(モノの原料。ある程度バカでかい原料をカットして分ける工程)
に、再度カットしてもらわないといけない。
基本は指定された分しかカットしないため、このように突然追加でカットを頼むと作業時間が増えて迷惑をかけてしまう。(もちろん洗浄工程でモノ壊しても1から加工しなおしになりますね)
んで、ちょっとした問題があり、その『材料工程』の連中がほとんどチンピラまがいの武闘派orヤンキー集団なんだね。
だから人畜無害の我輩や、勉三さんにとっては脅威の集団であるので、再度作り直しを依頼するとすごく神経を使ってしまうわけ。
そりゃもう仕事中は「ミスしてモノを壊してしまったらこの世の終わりだ」とビクビク怯えながら操作しなくてはいけないんですよ。
コレがまた目に見えない疲労となり毎日神経が削れていくんですよね。
・・・でも幸いにも意外ではあるが気さくに声かけてくれたりする人ばかりで唯一の救いではあった。(それでも恐いけどな!)
むしろ他の工程の連中が陰湿だったりする。
この詳しい話は後にでも話しましょう。
更なる残業、疲弊する我輩。
引用:『サラリーマン金太郎』より
そこである時班長からの一言が。
班長「じゃあ、ひげみかん君も残業は洗浄工程にいるみんなと一緒に帰るようにしてくれ。」
我輩(……は??)
うすうすは感じていた。いつも夜9時には帰ってるとは言え、洗浄工程の連中はまだ帰ってない。
パートのオバチャン達はもちろん定時に帰っており、後は新人の我輩が次に早く帰るだけ。
ということは我輩自身がある程度仕事出来るようになると、あの連中達のように更に残って作業することになるのでは?
予感は的中しました。
どうやら深夜0時過ぎまでが当たり前でした。
一番酷い時は深夜2時前までもありました。
さすがに洗浄工程の班長も年なので帰る頃には顔色が悪く、周りの一緒にいる先輩達も半分は廃人のような顔をして静かに帰社し始め、残り半分は達成感に包まれたような表情しているという典型的な体育会系まっしぐら。
先輩「今日も頑張ったな!帰ろうか!また明日も頑張ろうな!」
正気かこの人ら……きっとサイボーグ手術でも受けてるのでは……?
唯一早く帰れるのが土曜日出勤のみ。
帰る時間は夜10時。どっちにしろ定時ではありません。ふざけんな、コノヤロー。
だから休める日曜日も結局疲れが溜まりすぎたのか夕方ごろまで爆睡し、予定も無いので(キツすぎて遊ぶ気もない)パチンコ行くぐらい。
完全に泥沼にハマってる状態でした。
パチンコも負けっぱなしで何の為に生きてるのか分からん。次の月曜日にはこの世の終わりみたいにまた新しい週が始まる事に絶望を感じ。
本当に日曜日のサザエさん観てる時は体が重かったです。アレはキツい。
※今はもうパチンコは一切しなくなりました。
そんなこんなでガッツリ残業した時の月の残業合計が、
約110時間/月
給料手取り20万弱
と中々な数字でした。
※余談だけど、定時が17時30分でそのあと30分間は謎の『ミーティング』って言う時間があるんだよね。
このミーティングの時間は各工程の人達内で話し合いをする時間でありますが、ミーティングなのでこの30分は残業つきません。
しかもミーティングなんですが皆早く帰りたいのでミーティングなんぞ一切せずそのまま作業してます。
サービス残業でいいので早く帰らせてくれ。
です。
てな感じで帰りはコンビニ弁当を買って、家に着いたら急いで食べて、急いで寝るだけです。
我輩は基本6時間睡眠とらないといけないマンなので毎日が寝不足気味になってます。
まあ、昼の休憩時間が1時間半と、謎仕様になってますので、そこでいかに昼飯を急いで食べて昼寝出来るかが勝負です。
駐車場ではほぼ全員が車内で爆睡。
車持ってない人は工場内でダンボール敷いて、製品を養生する大きいタオルを体に掛けて昼寝していると言う中々カオスな状況が発生します。
もう体がしんどいです。
でも辞めるワケには……。
体力回復に梅干し
夏場に差し掛かろうとすると、工場内の気温が徐々に暑くなってきます。
もちろん零細企業(ざっくりいうと貧乏な企業の事です)なので冷房がありません。
扇風機が数台あるだけです。
汗は毎日滝のように流れます。ナイアガラ。
ある日朝礼で「暑くなってきたので対策を取ります」と、コワモテ人事さんより言われ
我輩「お!冷房でもつけるのか?」
と思いきや
梅干しの解禁だそうです。それだけ。
塩分摂って熱中症対策ということは解りますが、梅干しだけで夏の暑さを凌げということです。
もうこの時点で暑さで頭がやられておられるのでは?と疑ってしまいます。
各作業場に設置された大量の梅干しは売れるわ売れるわですぐ減っていく毎日。確かに味は悪くないのでよろしいでしょうが。
そんな大人気の梅干しが減っていくのをコワモテ人事が嬉しそうに見て、翌日の朝礼では
「梅干しがたくさん減っているということは皆がそれほど真剣に仕事をしている証拠です。私は非常に嬉しく思います!」
などと意味不明の供述を繰り出す始末。
これじゃあ全然回復できません。
ある日の事ですが、だいたい朝礼は毎回30分~1時間ぐらい立ちっぱでコワモテ人事の話を聞かされるが(早く仕事させて)
その日は疲労がMAXに達している時であり、汗も暑さでダラダラ噴き出し我慢がきれたのか、
急にヒザがガクガクなって、ヒザから崩れ落ちました。
我輩も「!!!???」てな感じで何故か起きあがれず、周りのパートさん達が慌てながら大丈夫?と声かけてくれました。
コワモテ人事も「暑さが増してきましたからね、君は今回は座ってて話聞いていいですよ。」
とフォローかけたのか何なのか分からん事を言う始末。いやいや、早く朝礼終わらせろよ。こちとら皆の前で赤っ恥かいたじゃねーかバカヤロ!
しかも別の工程のあまり話した事がない作業員から「梅干しをいっぱい食べなかったらあのようになったんだよ!」とか言われるし。
うるせえ、お前は梅干し全部ミキサーにかけて飲んでろ
も、もう体がキツい……
これを一生我輩はやっていくのか……?
そんな事が脳裏にうっすら出てきた
クレームと逃亡者
「今日は○○さん(納品する所のお客さんの会社です)からクレームが」
だいたい朝礼後の作業開始前の10分ほど、工程の人間内でミーティングする際に班長から当たり前のようにほぼ毎日報告がある。
いやいや、こんな平然とクレームが出っぱなしでいいの?と思いきや周りの連中も
「そーね!あそこは細かいもんね!」
ぐらいで軽く笑って流す程度。
まったく改善する気無し。
そりゃもうサラリーマン金太郎に出てくるバァさんが放った言葉「こんな会社早く潰れてしまえ。」ですよ。
引用:『サラリーマン金太郎』より
もうこの時点で
我輩(もうこの会社ヤバくね?もう辞めたほうがいいかも……)
と思うように。
そこである日我輩は聞いたんだ。
休憩時間中に無愛想な勉三さん(我輩の教育係)に。
我輩「あの……。正直ここの会社ってどうなんですか?勉三さんはキツくないんですか?」
いつもそっけない態度の勉三さんへ恐る恐ると声をかけてみた。そしたら普段とは違って色々と話てくれた。
勉三さん「この工場はね、人が入ってきても長続きしないんだよね。そりゃこんな工場だから当たり前だよ。
だいたいが入社初日で辞めたり、ひどい時は入社日にトイレ行きますって言ってそのままトイレの窓から逃げて音信不通になったヤツもいたんだよ。
お前は珍しく続いてるほうなんだ。
もしかして辞めたいと思ってるのかい?
実際それが正解だよ。辞めた方がいい。
本当はお前が完全に機械加工工程をマスターしたらすぐに俺が辞めるつもりだったんだ。ちくしょうめ(笑)
お前も早いとこ逃げとけよ。俺はもうアテがないんだ(笑)」
苦笑いしながら話してくれた勉三さん。
正直嫌いな先輩だったがこの日だけはすごくいい人。聖人に見えてしまった。
辞めたァァー!
ほぼ気持ちが辞めたい方向に向いてる中、一番下っ端の我輩に対し、ひとりの先輩からのあたりがキツくなってきた。
そうだな、誰に例えるなら芸能人の「柴田理恵」さんを男にしたような先輩だ。柴田先輩とでも呼ぼう。
※柴田理恵さん。実際はいい人ですね。
我輩に注意すると、明らかに嬉しそうにしてくる。
んで、他の人が柴田先輩の目の前でミスしても、「見てません!私見てません!んん!!」
みたいな表情で見て見ぬふりしてやがる。
すごく陰湿……。
それがエスカレートして、とある日。
その日はしつこいぐらいに言ってくる。
ミスした訳でもないのに何かにつけてイチャモンを言ってくる。その度にまんべんの笑みを浮かべよるし。
こりゃあもうストレスのハケ口にされてるだけだろ!と我慢していたが、我輩も残業のストレスと疲労でついにピキっと。
引用:『サラリーマン金太郎』より
気付いたらヘルメット叩きつけてしまいました。
その時ついに心の中で叫んだ。こんな会社、辞めてやる!と。あ、声には出せなかったです。ビビりなんで。
その時は他の色んな先輩から「気持ちは分かるがヘルメット叩きつけるのはいかんな」と、説教されました。本当ごめんなさい
少しだけ落ち込みながら家に帰ってマイマザーに、もう辞める。と告げ、次の日に班長に伝え、その後コワモテ人事との面談があった。
そこでは「もったいない」、「他もだいたい同じだよ」、「君には期待してた」などと、よくあるフレーズを放ってきたが我輩も辞めるの一点張り。
コワモテ人事の顔が更にコワモテになってきたがそこは目を合わせず乗り越えた。
そして○○日まで出勤に決まり、嫌そうな表情で我輩を解放した。
帰ったあとはフッと、身体中の負荷がとんで心がなんだか軽くなった。
朝礼で怒られる
最終出勤まで残りわずか。
そんな中、いつもの朝礼でいつものようにコワモテ人事が、朝礼を行うが相変わらず長い。
コワモテ人事「今は特に忙しく大変な時期ですが、皆さん良く頑張ってくれました。このことは非常に素晴らしい事だと思います。」
コワモテ人事「ですが、この頑張ろうとしている雰囲気の中、水を差すような不届き者がいる。」
コワモテ人事「ふざけるなァァァッ!!!」
社員全員「!!!!」
ビリビリと雷鳴の如く怒号が工場内に響きわたり、コワモテ人事は我輩を睨みつけ
「他の者は今後そのような甘い考えを持たないように!!以上!!!」
そう言って朝礼は終わった。
朝礼後は材料工程のチンピラのような先輩達が笑いながらコワモテ人事のモノマネをしてきた。
チンピラ先輩達「アレおかしかったな!お前やっぱ辞めて正解ぞ!俺もこんな所には居られないな!」
チンピラ先輩達「次はいい職場見つかるといいな!頑張れよ。」
優しい。なんて優しい人達なんだ。恐いけど。
……そんな事もあったが無事退職をした。
退職をしたあとは家族も友達もホッとした様子で迎えてくれた。
その後の我輩
辞める話をコワモテ人事にした日から、友達にこのことを話して友達の勤めてる会社が従業員募集していた為そこに面接に行って内定をもらってました。
(いわゆるコネです。友達にはすごく感謝。)
1、2週間はゆっくり体と心を癒し、今の職場で働かせてもらってます。
人間関係はグレー、給料は少なめですが、あのブラック工場に比べたら全然マシかなと。
本当に辞めれて良かった。あそこで一生働くと考えるとゾッとする。
以上が我輩のブラック工場を辞めた話でした!
結局、前半と後半の文字数バランスがとれてません。サーセン!
もし、今ブラックな環境に置かれてる人は「ここで一生働けるか?」を考えると辞める決心がつくと思います。だって地獄のような思いをしても現状は変わることはありません。
辞めたあとを考えると中々踏み出せませんが、そこは友人を頼ってコネで転職するのもひとつの手かなと思います。
その職場の深い情報も確実に得られますし。
やり手な方になるとTwitter等のSNSで転職先見つける方もいるそうで。
長ったらしくなりましたが、読んでくれて感謝です。
これからはこういったブラック企業が1社でも減ってくれたらいいなと願うばかりです。
引用:『サラリーマン金太郎』より
追伸:書き始めから1ヶ月以上かかりました。忙しいのもありますが、帰って寝落ちしたり、アプリゲームにハマったり……
早い話がダラダラしてました(笑)
すみません、まだまだ不定期にはなりますが更新していきますので来年からもヨロシクお願いします!
ひげみかんでした。終わり🍊!!